最近よく同じような夢を見る。
心も体も暖かくて、笑顔が止まらないくらい幸せで、本当にこれが現実だったらどんなにかいいだろうと思う夢。
夢は叶わないから夢なのは判っているけれど。



ああ、今も夢を見ている。
ふわふわと宙に浮いているような浮遊感。とんっと大地を蹴れば、このまま空へ飛び上がれそうだ。
そう思った瞬間大きな鳥が羽を広げたような音がして、振り返ると背中に真っ白な翼が生えていた。肩甲骨に力を込めると、ばさばさと羽が羽ばたきを始める。
凄い、このまま空が飛べるかも。
爪先に力を込めて、えいっと飛び上がる。ばっと広げた羽が風に乗る。
凄い凄い凄いっ。空を飛んでる!
両手両足を伸ばして、体一杯に風を受ける。なんて気持ちいい。
体の角度を変えて、羽を畳んで地面に向かって急降下してみる。激突するすれすれにまた羽を広げて大空へと飛び上がる。
今度は八の字にぐるぐると旋回してみる。重力の戒めから解かれた体が、自由に大空を飛び回る。
ふと、視界の端にもう一つ白い翼が見えた。
自分よりももっと大きな羽を持つその鳥は、羽を羽ばたかせつつ近づいてくる。
柔らかな笑顔で差し伸ばされた手を掴んで引き寄せて、太い首筋に腕を回してしがみ付く。筋肉のついた太い腕が、当たり前のように背中に回されたことが嬉しくて。
唇を押し付けた。
驚いて目を見開く鳥に構わず、そのまま舌を差し込んで相手の舌を求める。角度を変え、何度も何度も深く唇を重ねる。
混ざり合った唾液を躊躇いもなく飲み込み、またキスを。
やがておずおずと躊躇いがちにではあるけれど、キスが返ってきた。伸ばした舌が唇を辿り、歯を舐められる。途端にずくんと熱を持つ下半身。
欲しい。欲しいよ。
いつもはここで終わってしまうけれど、今日は鳥の方からもキスしてくれた。抱いてくれている手が、離れていかない。今日は大丈夫?
ああ、そんなことを考えている場合じゃない。夢が覚めてしまう前に手に入れなくては。
「…………っ」
なりふり構わない、目が覚めていたなら死んでも口にしないような恥ずかしいセリフを叫んで、鳥の胸にしがみ付く。
いいんだ、これは夢だから。
夢でくらい、本音を言ったっていいだろう?
暫くの沈黙の後、鳥の手がズボンに伸び金具を下ろす。
雲のベッドに横たわり、鳥の大きな温かい手が体を暴いていくのを、歓喜でもって受け入れる。
大きく広げた足の間にいる鳥に向かって手を伸ばし、キスを強請る。
再び背中に手を回せば、柔らかく腕を擽る鳥の羽と長い黒髪。
体の中心に打ち込まれた熱さに、理由の判らない涙が溢れた。







横向きに横たわり、すーすーとしどけなく眠るテッドのむき出しの肩に、そっと毛布をかけてやる。
いつもは眉間に皺を寄せ、歯を食いしばるようにして眠るテッドだ。あれではたとえ睡眠で体の疲労は取れても、精神は休まらないだろう。
だが今のテッドの寝顔は、今まで見たことがないくらい安らかだった。
夢でも見ているのか、時折ぴくぴくと奮える瞼に優しく口付けを落とし、身支度を整えて立ち上がると、高い位置で束ねた黒髪がはらりと揺れた。
「………っ」
弱みに付け込んだという自責の念に、きゅっと唇を引き結ぶ。
ポイズンリザードの毒が抜けきらず、部屋に戻っても意識が朦朧としていたテッドは、きっと相手が自分だとは判ってはいまい。
それどころかあの行為自体を現実と受け止めているかどうかも怪しい。
腕の中で喘ぐ彼は、別人のようだった。他人を一切近づけようとしない彼が、自ら手を伸ばしてきた。腕を引き寄せられ、首に抱きつかれ、口付けられた。
――抱いてくれよ…っ
ぼんやりと霞がかった、だが縋るような瞳で求められた。
彼が自分に誰を重ねているのかなど、もうどうでも良かった。
――……ぁ……ん、ああっ…………ど…
喘ぎの中に自分の名を聞いたような気がしたのは、願望が聞かせた幻聴だろうか。
どちらにしても、テッドは正気ではなかった。意識の無い相手を抱いた苦々しい思いを胸に抱えつつ、立ち去ろうとして。
眠るテッドを振り返る。
そのまま再びベッドに近づくと、毛布から覗く白い喉元にそっと唇を落とした。
強く吸い上げると、小さな赤い花が咲く。
「……夢じゃなかった証拠に」



パタンと静かに扉が閉められた後の室内では、優しい夢に浸るテッドが眠り続ける。







エロが書きたいなら、パラレルででも何でも好きに書けばいいじゃないか。
どうしてこういうちょっと捻ったものしか書けないんだ。
読んでてムラムラするようなエロ話が書きたいです……私には無理なんかな…
(って誰もそんな話求めてませんか?もしや…)


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