夢ってのは不思議なもので、まるで第三者の目から見るように自分の姿を見たり、普段絶対しないことをしてたりする。しかもそれに違和感を感じない。
現実だったら絶対ありえないよな。人前で、右手に何も着けずにいるなんてさ。
それだけじゃない。もっと凄いことも、夢の中の俺は平気でやってる。
夢は願望を現す?それとも無意識の自分に対する警告?
ヤバイよなあ……
目覚めたばかりの布団の上で、俺は朝から重い溜息を吐いた。
再び背中からごろんと寝転がり、目を閉じて夢を振り返る。
この手に、感触が残ってる気がする。



夢の中の俺は、自分だと認めたくないくらいひどい顔をして笑っていた。
まるでソウルイーターが乗り移ったかのような、冷たい視線。口元に浮かぶのは皮肉気な笑み。
暴れる腕を押さえつけて、乱暴に口付ける。シオンの体を無理矢理開き、滾った自身を打ち込む。
『…っ……』
シオンは時折苦しそうな声を洩らすだけで、俺を責める言葉は一切なかった。あの大きな目一杯に涙を溜め、悲しそうな目でただじっと俺を見つめていた。
そんなシオンを可哀想に思うどころか、夢の中の俺の行為は益々エスカレートして、陵辱の限りを繰り返した。
はっきり言って、思い出したくない……
誓って言うが、嫌がる相手を無理矢理って趣味は俺には無い。顔を赤らめての抵抗の時は、勿論美味しく頂かせてもらうけど。
シオンの中に放ったときは、トイレの夢と同じで、イった感覚はあれど開放感は無かった。
ぐったりとしたシオンの体を引き起こし、その細い首に手をかける。
力を込めると、やがてシオンの体は動かなくなった。
呼吸すらも止めてしまった体を抱きしめて、夢の中の俺がおぞましい顔で笑う。
いつしか俺の姿は、鎌を持った死神へと姿を変えていた――


はあ。
夢とは言え、シオンにあんなひどいことをするってのもショックだけど、夢が指すところを考えると更に落ち込む。
あれってやっぱり、ソウルイーターがシオンを狙ってるって事だよなぁ…
当然だよな。四六時中一緒に居て、一番身近にある紋章が、俺の気持ちに気づかない訳がない。
持ち主の近しい魂を好んで喰らう紋章。
今のこいつにとって、シオンは一番のご馳走に違いない。
もうそろそろ潮時なんだろうか。
この町から離れるべきなんだろうか。
シオンの隣から――

ぎゅっと右手を強く握り締め、俺は左手で紋章を覆った。
まだだ。もう少し。もう少しだけシオンの傍にいさせてくれ。
本当は俺がシオンのことを嫌いになれれば一番なんだけど。
……無理だろうなあ、多分。
だったらいっそ顔も見たくないって程、シオンに嫌われるか?
それこそ夢の中みたいに、無理矢理組み敷くか?
でも幾ら嫌われる為とは言え、夢の中みたいなシオンを見るのは辛いなあ…。
どうせ抱くんなら、ちゃんと合意の上で抱きたいし。ってそれじゃ意味ないっての。
ま、くよくよ考えても仕方ないか。
とりあえずはさっきの夢をオカズに、一回ヌいとこう。
(強姦は趣味じゃないけど、シオンのあの顔は下半身に来るものがあった)







がばあっ

「……び、びっくりした…」
飛び起きて、真っ赤になった頬をぺちぺちと叩く。
うわー、まだ心臓がドキドキ言ってるよ。何て夢見てるんだよ、僕!
夢の中のテッド、別人みたいだった。冷たくて、意地悪で……でも格好良かった。
あんな風にされたいって事なのかなあ…僕ってマゾッ気があるんだろうか…
下半身に感じる違和感に、恐る恐る布団を捲り上げると、がっくりと肩を落とす。
「…僕って最低……」

その日の早朝、まだ誰も起きてこない庭先で、一人シーツを洗うシオンの姿があった。












第2弾。
うおーっ、まだどういうスタンスにしたらいいのか決まらない…
一応テ坊はシオンかテッドの一人称で統一しようと思っています。文章も比喩は控えめにしてさらりと。
「昼寝」が甘かったので、今度は暗い話を書こうと思ったのに、この結果。
テ坊のテッドは、坊テに比べ非常に前向きなので暗くなりません。
そして下品なネタですみません(苦笑)



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