「望む未来を選び取ったのですね、シオン」
運命の見守り人は、水晶に映った人物に向かってそっと呟く。
「この世界に落とされた新たな歴史が、未来をどのように変えていくのか、私には判りません。私はバランスの執行者。時の囚われ人。世界の終焉を見守るのが私の役目」
魔術師は水晶の間を離れ、長い法衣の裾を引き、星の見える庭へと降り立った。
閉じた瞳で、夜空に輝く満天の星を振り仰ぐ。
「運命は定められたものではなく、自分の手で掴み取るもの……シオン、テッド、あなたたちの未来はこれからです。宿命(さだめ)を離れた星たちよ、自分の望むものの為にお行きなさい……」
彼女の呟きに呼応するかのように、二つの星が一際大きく輝いた。
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