テッドと坊と主人公と
「なあ、シオン。お前、俺と別れるまではあんっっっなに初心だったくせに、どこでこんなこと覚えてきたんだ?女相手ならともかく男相手なんてさ」 「解放戦争の時の仲間の中に何人かいたんだよね、そういう人たち。ほら、男ばっかりの集団じゃない?女の人もいたけど戦争に関わっている以上絶対的に男が多いわけで・・・僕もアプローチかけられたよ。ねえ、コウリ」 「何で僕に話題振るんですか」 「君も経験ありだろ」 「・・・・まあ、無いとはいいませんけど」 「・・・・で、襲われたのか?」 「返り討ちにしたけどね。でもさすがに身の危険を感じて少しそっちの知識を得ようと思ってさ。身近なカップルに師事を仰いだわけ。テッドも知ってる人たちだよ」 「誰だ?」 「アレンとグレンシール」 「げげっ、あの人たちってそういう関係だったのか」 「アレンは隠してるつもりみたいだったけど、バレバレなんだよね。グレンシールは僕が気づいていること知ってたし。だからある日、二人が一緒にいるときに押しかけたんだ」 「二人一緒のときですか・・・・鬼(ぽそり)」 「なんか言った?」 「いいえ、何にも(地獄耳・・・)」 「とにかく、まあその時に彼らに色々教わったんだ。さすがに実地はしてないけど、勉強になったよ」 「もしかして、その行為を見てたんですか・・・・?」 「そうだよ。グレンは見てていいって言ってたし、舌技はやってもらったしね。アレンはおたおたしちゃって役にたたなくなってたけど」 「え、じゃあアレンさん攻め?」 「うん。ちょっと以外だよね。僕もてっきりグレンが攻めだと思ってた」 (行為を見てもいいなんて言う受け・・・・。凄い人だ。そのグレンシールさんて人・・・) 「あとは、同盟軍の中にもいただろ。えっと、カミューとマイクロトフ・・・だっけ?赤と青の騎士。彼らもできてたよね」 「よく知ってますね・・・・」 「あれだけ人前でいちゃいちゃしてたら、気づくに決まってるよ」 (普通は気づいてないんですけど) 別に特別いちゃいちゃはしていなかったと思う。ただ、時々二人の間に交わされる熱い視線。 その目つきで自分もなんとなく気がついた。後は現場を見てしまったのが決定打だった。 「グレンたちにしろカミューたちにしろ、彼らは本気で相手のことを想っていたから、うらやましかったよ。ここにテッドがいたらって何度も思った。抱きしめて、キスして、絶対離さないのに」 「・・・お前・・・」 赤くなって何も言いえないテッド。 「でも見ただけでそんなに上手くなれるものなんですか?シオンさん」 「少なくとも僕は見ただけだよ。あと、ちょっと嘗めてもらったけど。それ以上はしてない」 「アレンさんって上手いんだ・・・・」 「上手くないよ。上手かったのはグレン。グレンが全部下準備して、奉仕して、盛り上げてたんだ」 「情けない攻めだな・・・」 (僕はアレンさんを笑えない・・・テッドさんとやった時の僕はまさにそんな感じだし・・・) 「つまり、先天的に自分はうまいと言いたいわけですね」 「そういうことになるかな」 (どうせ・・・どうせ、僕は下手ですよっ!) 「いいよなー、テッドさんも上手いしさ。二人だったらバッチリ天国見れますよね」 嫌味のつもりで言ったのだけれど。 失言だったと気づいても後の祭り。 「そういや、君はテッドとやったんだっけ・・・・。どうだった?テッドの味は」 すうっと室温が下がる。シオンから吹き付けてくる絶対零度のブリザード。 「君も天国見せてもらったんだろう?なんなら僕も天国に逝かせてあげようか」 (シオンさん〜〜〜〜字が違います―――!) って合ってるのか。この場合。 「遠慮しますっ。ああっ、右手しまってくださいよ〜〜」 「こらっいいかげんにしろ」 「いてっ」 テッドがシオンの頭をぽかりと殴る。 「落ち着けって。俺たちだって好きでやったんじゃないんだから、そうコウリを責めるなよ。嫉妬深い男は嫌われるぞ」 「・・・・・テッドも?」 「は?」 「テッドも嫉妬深い男は嫌い?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿」 (あーあ、またあそこでラブラブ始まっちゃったよ。ううっ、ジョウイ。どうしてここにいないんだ・・・・・) 「そういや、テッドって上手いの?」 ふいにシオンがコウリに視線を向ける。 「えっ・・・・すごく上手いですよ・・・・・・」 「僕とどっちが上手い?」 「おいおい、シオンっ・・・・」 「えーと・・・・・テッドさん・・・・」 (言ったらやばかったかな・・・・でもでもっ、シオンさんの目が怖いんだもん〜〜〜〜) 「そうか・・・・テッド!」 「ぎくっ・・・・なんだよ」 「僕が何人目?」 真剣な瞳で見上げてくるシオンに、テッドはつい腰が引けてしまう。 「何人目って・・・・」 「何人と寝たことがあるのさっ」 (シオンさん・・・・それを聞く男は嫌われますって・・・・・) こっそり涙を拭うコウリ。 「そんなこと言われても・・・・・」 「判らないくらい、相手がいたのかっ」 「ぎくぎくっ・・・・そんなことは・・・・」 「じゃあ、質問を変える。男では何人目?」 「え、えっと・・・・・」 視線が泳ぐテッド。 「男でも判らないのかっ!?」 (ええ――――そうなんだ、テッドさんっ) シオンの怒りの形相が崩れ、ふいにその双眸からはらはらと涙が溢れ出した。 「テッドにとっては寝るのなんてどうでもいいことだったんだね・・・・。誰でもいいんだ・・・それなのに、僕のことは拒むんだね・・・僕が嫌いなんだ・・・・」 「ち、違うっ。誰でもいいなんていってないだろっ。お前はっ・・・・そのっ・・・・・大事だから」 「えっ?何ていったの。聞こえないよ」 「だから・・・・好きだから」 「聞こえないって」 「――――ッ!!お前が好きだからっ、軽い気持ちでやりたくないんだ、俺はっ!」 「テッド・・・・・・・(感涙)」 (勝手にしてくださいよ、もう) 完全に二人の世界に入ってしまった。コウリがいなくなっても気づかないだろう。 (にしても、何人と寝たか判らないほど相手にしてたんだ。上手いわけだ) 上手くなる為に、他の人間と寝ようとは思わないけど。 (ジョウイとだって、数をこなせば上手くなるよね。がんばろう) 新たな決意を胸にコウリが退場したのことに、ラブラブモードに入っている二人が気づく訳なかった。 某チャットで、坊のテクは先天的か努力の賜物か話題になり、私は努力だと思っていたんですが書いたら天性のものでした。やはり坊は上手い、ということで(笑)なんかテッドが好きもののようになっちゃいましたが、理由は「闇の中の鼓動」にちらりと。 坊が師事するのがアレグレなのは、うちならではですね(笑)騎士はもちろん青赤です。いつか単体で書きたい騎士二組・・・・。 |