「テッドの事が好きなんだ。親友としてだけじゃなくて、テッドの全てを知りたい。君に触れたいんだ」
突然の告白にテッドは唖然としていたが、覚悟していた嫌悪や軽蔑の色が顔に浮かぶことは無かった。 キスしてもいい?と訊ねれば、瞼が閉じられる。唇を重ねるだけのキスは以前から何度もしていたが、舌を入れる本格的なものは初めてで、深い口付けに夢中になった。 「シオン…」 潤んだ瞳に掠れた声。躰が熱くなる。 このまま一気に押し倒してしまいたかったけれど、ぐっと堪えた。ちゃんとテッドの意思を確認して、合意の上で行わなければ。 額同士をこつんと付き合わせて、上目遣いにテッドの顔を覗き込む。 「……いい?」 途端テッドの顔が真っ赤に染まり、びっくりする。 キスを受け入れてくれた事で拒否はされないだろうと思っていたが、この反応は意外だった。「仕方ないな」とか「男同士なんだぞ、判ってるのか」などと諭されるのを覚悟してたのに。 もしかして…テッドも? 「……嫌なら抵抗して」 半ば確信を持って、でも最後の逃げ道はテッドに残して、抱きしめた体をベッドに押し倒す。 「ちょっと待っ……んっ」 唇を重ねながら、片手で服を緩めていく。 テッドの体はガチガチに固まっていた。服の上から下半身に触れると、びくりと大きく体が跳ねる。 「体の力を抜いて…緊張しなくていいから」 「そんなの無理に決まってる…!」 「怖い?」 テッドの視線が泳いだ。胸を微かな痛みが刺す。 テッドに触れたいのは肉欲の為じゃない。生まれたままの姿で、恥ずかしい部分も全部曝し合って、一つに繋がりたいから。 「僕に触れられるのは……嫌?」 声音に含まれた切なさに気付いたのか、テッドが弾かれたようにシオンを見上げる。 「嫌じゃない…」 「テッド」 「怖い訳でもない…。俺がお前を怖がる必要なんてないだろ。ただ…」 「ただ?」 そこでテッドは両手でバッと顔を覆って叫んだ。 「恥ずかしいんだよぉ!!」 「……え」 「だって俺たちずっと親友だったんだぜ?お前が女だったら意識もしてただろうけど、恋愛対象外の筈だった相手と今更寝るのって恥ずかしくないか?女とは元々体の作りが違うから、結構平気で裸になれるんだ。だけど男同士ってほら、サイズだとか筋肉だとか、つい自分と比較しちまうだろ。一緒に風呂に入る位ならともかく、寝るとなったらヤバイとこまでじっくり見られる訳だし…」 「そ…そう言われると確かに恥ずかしいかも…」 女性の前での羞恥心とはまた違ったものだ。風呂で筋骨隆々な戦士達の前で、子供体型を曝す時の気持ちに近い。 「だろう!俺なんかこの姿で300年生きてる分、自分の体に凄いコンプレックスあるんだ。幾ら鍛えてもちっとも筋肉は付かないし、サイズも変わらないしな…」 「それは…大変だね…」 「だけどお前と寝るのはやぶさかじゃない。というかぶっちゃけ、俺も寝たいと思ってた。まさかお前の方から動いてくれるとは思ってもみなかったけどな」 「そうだったんだ…」 「てなわけで、明かり消そうぜ。お前の躰見れないのは残念だけど、それはお互い様だからな。あ、服脱がされるのも恥ずかしいから、自分で脱ぐから」 そう言って、テッドはさっさとベッドサイドのランプだけを残して、部屋中の明かりを落としてしまった。薄暗がりの中、さくさく服を脱いでいる。 確かに合意の上でが希望だったけれど、何だかこれは違う気がする…。 「早くお前も脱げよ、シオン」 「う、うん」 だけど望みは叶ったんだからまあいいか。 「同性と寝るのは恥ずかしい!」と叫ぶテッドが浮かんで書き出した話。 シオンでのお初ネタは、どんなに環境設定を変えても結局同じオチにたどり着く事が判明しました(苦笑)(キャラが同じなんだから当たり前だ) なのでこちらに。 |