「内容によるよ。テッド個人の事だったら何があっても黙ってるし、みんなが知っていた方がいい話だったら話すかもしれない」
シオンは話が紋章の事だったら、グレミオたちに相談するつもりだった。 明日はロックランド行きだ。その先には清風山が待っている。クイーンアント戦で、テッドが紋章を使わなくても済む方法があるかもしれない。 テッドにも自分が紋章のことを知っていると告げようかと思ったが、鈴の音は今は止んでいた。あの音がしないのに、歴史に関わるような発言をするのは危険だ。 「じゃ教えるのは止めたっと。グレミオさんにバレたら大変だもんな」 さっきまでの神妙な態度とは打って変わって、明るい声でテッドが言った。 「グレミオにばれたらまずいような秘密な訳?」 「まずいまずい。大目玉食らっちまう。だからやっぱり内緒~」 よいしょっと勢いをつけてベッドから下り、すたすたと入り口に向かう。 「あれ、もう話は終わり?」 「ああ、眠くなってきた。明日は早いんだから、お前もさっさと寝ろよ」 シオンが口を挟む間もなく、おやすみと言い残してテッドは部屋を出て行った。 守ると言えば、彼は心の内を打ち明けるつもりだったのだろうか。 聞いていれば、テッドを助けることができたのだろうか。 今となってはもう判らない。 選択を間違えたのだろうかと後悔しながら、シオンはゆっくりと背中からベッドに倒れこんだ。 次頁 |