清風山での戦いは熾烈を極めた。
清風山に行くまでにあの鈴の音が鳴る事はなく、運命を変えられないまま彼らはクイーンアントと対峙している。
時間が戻ったことで、シオンの戦闘レベルも著しく落ちていた。
頭では次の動きが判っていても、体が付いていかない。たかだかクイーンアントに苦戦する己に苛立ちながら、渾身の力を込めて棍を振り下ろす。
だがやはり、今の自分たちの力ではクイーンアントを倒すことは出来なかった。
「シオン、皆、下がっていてくれないか。俺に考えがあるんだ」
あの時と同じように、テッドが決意した目でシオンを見る。
「危ないことは止めるんだ、テッド」
他に方法がないことは判っているが、それでも止めずにはいられない。
「心配すんなってシオン。任せとけよ。ありがとな。心配してくれて」
そういって微笑むテッドの笑顔が切なくて。
歯噛みしながら一歩下がる。今はテッドの紋章に頼るしかないのだ。

リーン……

選択の鈴が鳴った。
だが今のシオンに出来る行動は、二つしか思い浮かばない。


カナンに紋章を見られないようぶちのめす
テッドを見守る