「ソウルイーターは返さない」
シオンの返答を受けて、ソウルイーターの力が膨れ上がった。
これを待っていた。黒いバリアのようなものが、シオンとテッドを世界から隔離する。
「シオン……シオン…俺の声が聞こえるかい?」
「ああ、聞こえるよ…っ……いいかいテッド、僕の話を聞いて。支配の紋章のことも、これから君がしようとしていることも全部僕は判っている。現実に戻ったら僕の言うとおりにして欲しい。絶対に君を助けて見せるから」
「どういうことだ、シオン。それになんで支配の紋章のことを…」
「説明してる暇は無いんだ。お願いだ。頼むから何があっても自分の魂を紋章に喰らわせないでくれ。そんなことしたら絶対許さないからなっ」
「!…シオン…っ…」
テッドとシオンの心を繋いでいた世界が弾け飛ぶ。
何とかテッドにこちらの意思を伝えることができた。これからやろうとしていることを成功させるには、ウィンディに聞かれずにテッドに話しかける必要があった。
後はタイミングを失敗しなければ……
鈴の音はさっきから煩いほど聞こえている。大丈夫、ここは確かに歴史の分岐点だ。
「い、今のは……テッド、早くソウルイーターを奪うのよっ」
「シオン、紋章を返してくれよ。嫌だというなら力づくでも……」
焦ったウィンディの命で、テッドが一歩前に出る。後、もう一歩。
今だ!


「来い、テッド!」
「伏せろ、テッド!」