Happy Happy Valentine
明日はバレンタインデー。好きな人に想いを込めてチョコレートを渡す日だ。 僕が今いる台所には甘〜いチョコレートの香りが漂っている。バレンタインの前日にチョコの匂い、とくれば判るよね。そう今僕らは好きな人に渡す手作りチョコレートを作ってるんだ。 本当は女の子が男の子にあげるものらしいけど、生憎僕らは男同士だからね。僕の好きな彼はあんまり料理が得意じゃないし、毎年僕が作ってあげてるんだ。 「コウリ、この後どうするのさ」 声をかけられて振り返る。言ったろ、僕らはって。そう今僕たちは二人で手作りチョコを作ってるんだ。 「溶けたら今度は水を入れたボールに入れて冷ますんです。30度になったらまた声かけてください」 「うん」 もう1人のチョコを作ってる人、誰だと思う?・・・・・シオンさんなんだ。テッドさんにあげるんだって。 チョコを作るの初めてだっていうから教えてるんだけど、へへへ、ちょっといい気分♪ 僕がシオンさんに教えることがあるなんてさ。 とりあえず初めてだそうだから、1番簡単なのをつくることにしたんだ。刻んで、溶かして、型に入れるだけの。 あとはちょっと見栄えを良くするために、アルミカップにチョコを入れて固めて、そこにレモンを入れて味を整えたクリームチーズを搾りだしたのも作るつもりだったんだけど。 ――――型に入れるのだけにしたほうが良さそうだ。 シオンさんは料理に関するセンスはちょっと・・・・かなり無いみたいだった。 チョコを刻んでといえば塊に割るし、ボールは濡れたままチョコをいれようとするし(チョコに水分は厳禁だってさんざん言ってたのに)、湯せんにかけるのに溶けるのが遅いって言って熱湯使うし、大変だった。 実はこのチョコは三回目なんだ。実のところかなり作るの嫌になってるみたい。でもあとちょっとだから、もう少しがんばってくれるといいんだけど。 僕は今年はトリュフを作ってるんだ。しかもコーヒーとビターとアーモンドの三種。熱を嫌うトリュフを作るのは面倒なんだけど、ジョウイが喜んでくれるならがんばらなきゃね。甘いもの苦手なジョウイのために、ビターチョコを多めにして、ビターにはラム酒をアーモンドにはブランデーを加えて大人の味に。 ガナッシュクリームができたところで冷蔵庫で30分冷やす。さて、シオンさんはどうなったかな。 「シオンさん、どうですか」 「そろそろいいと思うけど・・・」 どれどれ・・・・・・・・・・まあいいでしょ。 「もう水から出していいですよ。後は型に入れましょう」 ハート型にたっぷりとチョコを流し込む。後は冷やして固めて出来上がりだ。 「さて、後は固まればOKです。上手くいきましたね!」 「チョコ作りがこんなに大変だとは思わなかったよ・・・ありがとうコウリ」 「どう致しまして。固まったらラッピングしましょう。二人とも喜んでくれるといいけど」 「僕たちの愛がこもってるんだ。喜ぶに決まってるよ」 「そうですね。明日が楽しみです」 ジョウイ、喜んでくれるかな。 明日は恋する人の為の、ST.Valentine's Day。 坊テッド編 主ジョウ編 +翌日(15日)+ 「どうでしたか、昨日は」 「もうバッチリだよ。君の方もうまく行ったみたいだね」 「はい。ジョウイ綺麗でしたv」 「確かにジョウイは美人だけど、テッドの魅力には叶わないよ」 「そんなことないですっ。ジョウイの魅力だって負けてません!」 「まあ、誰しも自分の恋人が1番魅力的だよね」 「そうですね」 「次の行事はなんだっけ」 「ホワイトデーですね。ああ、ひな祭りもあるかな」 「その後は花見があって・・・・」 「子供の日は、理由つけらんないしなあ」 記念日にかこつけて恋人と甘い夜を過ごそうと計画する、アニバーサリー男二人の会話は何処までも果てしない・・・・・。 |